要は「みんなで楽しく、快適に暮らそう」っちゅーことです。

体が心地いいと感じれる家を造るために考える4つのステップ

快適な家に住みたいと誰しも考えることでしょうが、では快適な家にするには何をどうすればいいのだろうか。

快適性は人それぞれですが、ここでは間取や空間に関係する使い勝手の快適性ではなく、身体的に心地よくなれる快適性に関して話を進めて行きたいと思います。

身体的に心地いいとはどういうことか。
家中の温度にあまり差が無く、なおかつ暑くもなければ、寒くもない状態です。
もちろん、クーラーや暖房器具をガンガン効かせれば、暑い夏でも、寒い冬でも快適に過ごせますが、場所によって温度差があればとても不快に感じてしまうものです。

この状態を手に入れようと思うと、
温度、湿度、日差し、風(空気の移動)をそれぞれうまくコントロールする必要があります。

それぞれをコントロールする為に、どの様なものが家造りに必要になってくるのでしょうか。

温度

温度をコントロールしようと思うと断熱と気密が必要になります。

夏場は暑い外気温や太陽光からの日射熱を外壁や屋根、窓から入ってこないようにすることと、外壁や屋根にたまった輻射熱を伝えないようにする必要があります。

冬場も同じように外の寒い外気温を家の中に入れないようにする必要があります。

それを防ぐのが断熱材の役割です。
いわば暖かいジャンバーを着るような感じです。
ですがいくら暖かいする為に、断熱材を分厚くしても建物に隙間があれば家の中はあたたまりません。
家中の隙間を極力なくし、暖かい空気が表に逃げないようにするのが、気密工事になります。

このように断熱材をしっかり入れ、スキマを無くした家を高断熱高気密住宅と言います。

そしてもう一つ高気密高断熱で忘れてはいけないのが、開口部いわゆる窓のことです。
熱の出入りの約半分が窓からで、窓や扉のスキマからの熱損失も約20%ほどあります。
断熱性と気密性を考えると全体の熱損失の7割が窓や扉からの熱損失です。
断熱と気密を考える時の対策として一番に考えなければいけないのは窓の性能と配置や数、大きさになります。

湿度

気密性を高くすると問題になってくるのが湿度対策です。
湿度をコントロールする理由は大きくは2つあります。
快適な環境を作ることと家を長持ちさせることです。
まず湿度をコントロールすることで、少々夏場の温度が高く、冬場の温度が低くても快適性は保たれます。
そして、湿度が高いことで発生する、カビやダニを抑えることができます。
窓や壁に発生する結露も十分な断熱性と気密性があれば抑制できます。
この辺が室内側で起きることです。
もう一つ重要なことが湿気の影響で構造材が腐ってきたり、シロアリの発生を促したりすることで家の耐久性に著しく悪影響を及ぼす、壁の内側での結露です。
気密性が高くなることで湿気が抜けにくくなり、湿度コントロールのことを考えないとこの様な事態が発生してきます。
断熱の工法により湿気をどの様に処理するかは変わってきます。
内張り断熱では防湿層を室内側の下地材のすぐ内側にもうけ、壁体内へ湿気が入らない様な施工をします。
ここで隙間が空いたりしないように施工するのが大変な作業になり、きちんと施工できる業者を選定しなければなりません。見える場所ではないので、工務店の施工レベル、管理レベルが問われてきます。
外張り断熱では躯体外側に下地ボードを貼るので、比較的気密レベルを上げるのは難しくありません。
透湿抵抗が外側に行くほど低くしていく工夫は必要です。湿気が徐々に外に抜けるようにするためです。
外断熱の欠点は工事はやりやすいが、発泡系の断熱材のコストが高く住宅価格が通常より高くなります。
外壁の素材も重くなるものは使えなくなります。

そして肝心の湿度をコントロールする方法は徐々に増えてきています。
部屋の壁材を湿気を吸放湿できる様な珪藻土、エコカラッとなどの素材で湿度コントロールする方法。
自然素材を利用した断熱材で湿度を吸放出する方法。(木質繊維、セルロースファイバー、ウールなど)
ダイキンのデシカの様な機械で除過湿できるもの。
アエレコ社のオンデマンド換気を使ったパッシブ換気。
徐々に湿度に対しても対策が取られ始めています。

風(換気)

気密性を高くすると室内の空気環境も問題になります。
隙間風が入る様な家では自然と換気が出来ていますが、気密性の高い家では計画的に換気しなければ室内の空気は入れ替わりません。徐々に家の性能があがり無意識に気密性が高くなり、一時シックハウスが社会問題になりました。
このため建築基準法でも30分に1回居室の空気が入れ替わる換気が義務付けられるようになっています。

そこで換気で考えなければいけないのが、室内の空気をいかに動かして汚れた空気を外に出し、新鮮な空気をどの様にとりいれるかです。
自然の風を取り入れるのは自然環境やまわりの環境に左右されますので、ある意味あてにできないものになりますが、風を取り入れるには窓の配置と形状になります。必ず2方向風が抜ける様な窓の配置が必要であり、建物内も個室中心の家か開放的な家かでも変わります。
窓も引違窓よりも風をキャッチできる縦すべり出し窓が向いています。気密性も引違窓よりもいいです。
そのかわりシャッターや外付けブラインドは取付けできません。日差しを庇でカバーできる南面か風を取り入れる為に北面に設置が向いているかもしれません。1階への設置は人が出入り出来ないほどの開きか幅の物が防犯上いいでしょう。
パッシブ換気のような外の風を取り入れる換気方法はは密集地でないことと、開放的な間取であるという条件が必要になってきます。施工業者もそのような考えができる業者に限られます。そして、温度差の少ない温暖地では取り入れることは難しい様です。
機械を使わないのでメンテナンスコストやランニングコストがあまりかからないので理想的な換気方法ですが、条件や課題が多くあまり普及しているとはいえません。
それでは、大部分の家は室内の空気の流れをどの様にするかが主題になります。
換気の方法としては機械換気の方法です。
住宅で採用されるのは、主に吸排気の両方を機械で行う第1種換気の方法と排気のみを機械で行う第3種換気です。第1種換気は給気側にもファンがあり取り入れる際に熱交換できる顕熱機を介すので、熱損失は少なく済みます。ですがダクト配管や吸排気、顕熱機等の設備が必要になってきますので、ランニング・メンテナンスコストがかかります。よく聞く話が電気代がかかるので、換気システムを切ってしまうということです。これでは本末転倒です。
顕熱機の代わりにダイキンデシカを導入すると、湿度コントロールが可能になりますので、室内の快適度合はおそらく最高レベルになるでしょう。ですが、メンテナンス・ランニングコストも相応にかかります。湿度コントロールできる機器の競争や発達が今後望まれます。
第3種換気は排気ファンがあり、給気口から空気を取り入れるのであまり電気代もメンテナンスコストもかかりません。ファンや給気口の掃除が必要になる程度です。給気口に花粉除去等のフィルターがある場合は定期的にかえる必要はあります。ただ外の空気をそのまま取り入れるので、空気の入れ方や暖房器具との相性もあるでしょう。

日差し(太陽エネルギー)

省エネで快適な空間を手に入れる為には、自然の力をうまく利用する必要があります。
夏の日差しは大敵ですが、冬の日差しは取り入れたいものになります。
夏の対策はブラインドシャッター、植栽、庇でのカバーで徹底的に太陽光を家の中に入れないようにします。
ですが冬場は積極的に入れることで暖房コストが削減できます。温暖地では特に太陽の熱を利用することで冬の暖房コストを抑えることができます。これは窓の配置だけで出来ることなので、積極的にとりいれましょう。光熱費でかかるのは冷房費よりも暖房費です。
そしてもう一つ考えたいのが、窓からの日差しだけでなく、屋根に降り注ぐ太陽光です。
太陽光発電は認知度もあがり普及してきています。コストもずいぶん下がってきましたので、選択の余地はあるのではないでしょうか。電気は熱利用だけでなく、色々なところに利用できるので季節は問わず年中必要なエネルギーになります。
太陽光発電よりも前からあった太陽熱温水器もコスト面からいえば検討の余地ありです。単純に太陽の熱を利用する為構造もシンプルでコストがそれほどかかりません。難点はタンク一体型の場合は屋根に重量がかかることと、一番熱を取り入れたい冬場にあまり採熱が出来ない事です。
最近はハイブリッド型が出て来ましたが、完成度はまだまだこれからでしょう。太陽光温水器とエコキュートの相性が今一つよくないようです。一見良さそうに見えるのですがうまくかみ合わない様で、無駄が多くなりまだ良い製品はでていません。
そして太陽光の買取制度や今後の電力市場、蓄電池の動向が気になるところです。
太陽光を入れると今後の買取が未知数の為蓄電池がも必要になりかなり設備投資にお金が必要になってきます。費用対効果、耐久性、メンテナンスなどなどを考えると導入がためらわれる一面もあります。

この様にきっちりとした家造りを考えるとどんどんと設備を増やさなければいけない状況です。
省エネと快適性どこまで追求するかで、建築コストも変わって来る今日この頃です。

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