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快適な温熱環境に必要な断熱量と製品比較をまとめてみた

壁、屋根、基礎の断熱以上に大事な窓の断熱

窓からの熱損失の割合は1992年の新エネルギー基準では
壁19%、床10%、天井・屋根6%、隙間・換気19%、開口部48%になっています。
断熱材をどんなによくしても窓やドアの開口部の断熱・遮熱を考えなければ快適な空間は実現できません。
ここではどんな選択肢があり、どのようなサッシを入れるのが効果的かを検証します。

世界のトップレベルの基準と日本の基準

まず日本の窓(サッシ)の基準と性能はどの様になっているか。

窓の断熱性の最低基準
フィンランド U値1.0
ドイツ      1.3
デンマーク    1.5
チェコ      1.7
イギリス   1.8
ハンガリー   2.0

日本 2.33Uwが最高性能の4等級になる
そして日本では特に最低基準は設けておられずU値4.65が主流であり、大手住宅メーカーの大半が採用しているのはU値2.9(Low-Eペアガラス利用時)もしくはU値3.5(普通ペアガラス利用時)で内枠が樹脂、外枠がアルミでできた樹脂アルミサッシというのが現状です。
この基準では到底世界の中で高い断熱性能があるとはいえません。
主に日本のメーカーの主流はアルミサッシというところに、断熱性の低さの原因があるようです。
アルミはそもそも熱伝導率が高く断熱部材には向いていません。耐久性や加工のしやすさでのみ採用されています。日本でのアルミサッシの普及率は約90%、樹脂性が約8%、木製が約2%になります。
一方断熱性能の高い欧米のアルミサッシの使用率は15%~30%でありメインは樹脂性40%~60%程になります。木製サッシの割合も多く6%~40%になっております。
樹脂サッシとトリプルガラスの普及率が大きく影響していると思われます。

※U値(熱還流値)とは、窓や壁などの部材がどれだけ熱が伝わりやすいかを示す数値で、 W/㎡Kという単位で表します。数値が0に近い程 熱が伝わりにくく断熱性に優れており、反対に数値が大きい程、窓から失われる熱が多い。

どんな窓とサッシの種類があるか

ガラス
単板ガラス→ペアガラス→断熱Low-eペアガラス→遮熱Low-eぺアガラス→トリプルガラス(Low-e2枚)
断熱Low-eは遮熱性能が低く赤外線透過率が高く、遮熱Low-eは赤外線透過率が低い
標準で3mm厚のガラスと6mmの空間(ガラスの厚みと空間の厚みの違いで断熱性能も変わる)
そして空間を保つためのスペーサーがアルミ製か樹脂性かでも断熱性能が大きく変わるので注意
空気→アルゴンガス→クリプトンガス→真空の順番で性能が上がる

一般的には東西には遮光性のある窓を選定し南北には断熱性のみでの対応がいいのではないでしょうか。
南面は庇とセットで考えれば、夏はひさしで日射を遮り、冬に日射を取込み暖かさを入れるのがベストです。
東西は日射を庇では遮れないので極力日差しを入れない工夫が重要です。
日差しのカットはガラスだけでは不十分なので、外付けルーバー、よしず等外側で日差しをカットする工夫が大切になります。
カーテンやレースでの遮光は一旦日差しをガラス内に入れてしまうので、輻射熱が発生し温度上昇につながります。

窓の形状の違いによる気密性能比較

窓の種類

引違窓-左右どちらからも開けられる、最も一般的な形状の窓、掃出し窓なら出入りも可能
気密性が取りにくい

横すべり出し窓-上下どちらかを軸にして外側に開く窓
水回りによく利用される、換気に最適で窓を開けても雨は入りにくい、すりガラスなら中は見えない。気密性は高い。

縦すべり出さし窓-左右どちらかを軸にして外側に開く窓
風が一番よく入ってくる窓、気密性は高い、外側にシャッターや格子を取り付け出来ないので目隠しが必要な場所には不向き、網戸も内側に着くので、窓の内側に虫が入る。

上げ下げ窓-上下にスライドさせて開閉する窓
洋風なイメージになる

FIX窓-はめ殺しで開かない窓
採光と景色を楽しむための窓

窓は断熱だけではなく、採光や通風も考えないといけないので、適材適所の窓を選定する必要があります。
どこにどのような窓を採用するのかはじっくり考える必要のあるアイテムです。

変わり始めた日本のサッシメーカー

2014年ごろより日本のサッシメーカーも窓の断熱性能に対する考え方がかわり初め高性能な断熱サッシが出始めています。
ようやく樹脂サッシ+トリプルサッシが出始めました。これで日本の窓の断熱性のレベルも上がってくれることを望みます。

木製サッシはメンテナンス、樹脂サッシは耐久性でアルミサッシには劣りますが、断熱性能があまりに落ちますので、アルミサッシは考えない方向です。

次回は日本のメーカーでやっと登場したトリプルサッシの比較をしてみたいと思います。

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