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屋根の形状と機能

あまり話題にならない、屋根の形状ですが、それぞれに特徴がありメリット・デメリットがあります。
まず屋根は何のためにあるのだろうか、
屋根は雨・風・火災・地震から守ってくれる
日射を遮って熱、紫外線から守ってくれる。
特に湿気は木造住宅にとって致命的になります。木が常に湿気の状態になっていると、腐朽・劣化が進み建物の寿命が短くなてしまいます。
屋根の施工にさいして重要視することはデザイン性、施工効率、耐久性、そしてメンテナンスのしやすさになります。
それでは主な屋根の形状をみていきます。
1.切妻屋根(きりづま)
もっとも日本で多い屋根の形状
シンプルで施工性も良くコスト安
換気のしやすい形状でもある
2.片流れ屋根
太陽光発電を載せる為に面積を最大にできる形状
最近太陽光発電を載せるために増えてきている。
3.寄棟
4方向に傾斜した屋根面をもつ形状になります。
風・台風・地震に強い構造になる。
周囲の日照権を確保しやすい形状のため、住宅密集地でもよく利用されます。
必ず南向きの場所があるので、小規模な太陽光パネルを搭載する事は可能だが、
不向きな形状である
4.陸屋根
フラットな屋根なので、屋上利用が可能になる。
その分水漏れ防止やメンテナンスの手が一番かかるのがこの屋根形状になります。
屋根形状で留意しなければいけないこと
シンプルな構造が施工性もよく雨漏りもしにくい形状なので、通常は切妻屋根か片流れになるケースが多いと思われます。
やはり一番重要視するのが雨漏りになります。
経年劣化での部材の劣化や破損、地震の揺れでのひび割れや部材同志の接合部の開き、汚れの蓄積での水の流れの不具合等で、じわじわと雨漏りが発生してきます。
雨漏りしやすい部位としては、
下屋根の壁際
複合屋根の谷樋
屋根と外壁のスキマ(軒の出の少なさから吹き込みによる雨漏り)
特に複雑な屋根形状は雨漏りの原因を増やすので、得策ではない。
あくまでシンプルな形を心がけるべし。
軒の出と勾配
軒の出は最低でも60cm以上できれば90cm
1mを超えると床面積に含まれます。
軒の出は雨濡れを防ぐだけでなく、夏のひざし対策に不可欠になります。
そして冬の日差しが入る高さです。(南向きの窓)
勾配は最低3.5寸(19.29°)
4寸(21.8°)が一般的な勾配
急勾配の屋根
6寸(31°)以上が急勾配の屋根の部類になります。
6寸の急勾配にすることのメリット
雨水がさっと流れ落ちる為、コケの発生や塗装の劣化を防ぐことができ、長寿命になる。
水の滞留が少ないので、雨漏りのリスクが少なくなる。
屋根裏空間が広く取れる。
一方デメリットは風や台風の力を受けやすくなるので、強度が必要になる。
5寸以上の勾配から施工時に足場が必須になる。
面積が大きくなり、施工の難易度もあがるので、費用が高くなる。
では3寸以下の緩勾配ではどうだろうか。
メリットは作業性はよく、面積も少ないので、コストは安くなる。
頂上部分が低くなるので、風も受けにくくなる。
メンテナンス時の足場が必須ではなくなる。
デメリットは
ほこりやごみが溜まりやすくなり、それ自体が湿気を含みカビや水溜まりの原因になる。耐久性が落ちる。
換気スペースが乏しくなる。
屋根材により必要勾配が異なります。
金属屋根は1寸以上
スレート屋根は3寸以上
瓦屋根は4寸以上となっています。
最適な勾配は4寸
3寸ではやや緩すぎ、屋根材も使用不可な物が出てくる、
5寸と勾配がきつくなると足場が必須になり施工手間も上がってくる。
それなりの勾配があるので、水も溜まりにくい
屋根も建築の一部です。設計者にまかせっきるにするのではなく、屋根の機能を最大限活用した建築計画を考えていきたいと思います。
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