住宅の断熱性能を考える上で、外壁や床下と並んで重要な要素が「窓(サッシ)」です。
窓は熱の出入りが最も激しい部位であり、断熱性を高めることで冬の寒さや夏の暑さ、さらには結露のリスクを大幅に軽減できます。
2025年の現在、主要メーカーのサッシ製品は大幅に進化し、樹脂サッシやトリプルガラスも標準的な選択肢になってきました。
本記事では、最新の断熱サッシの性能を具体的に比較しつつ、「どこまでの性能が必要か」「見落とされがちなポイントは何か」などを交えて、わかりやすく解説します。
■ 熱損失を左右する「U値」とは?
サッシの断熱性能を示す数値として、「U値(熱還流率)」が使われます。
これは数値が低いほど断熱性能が高いことを意味します。
● サッシ別 U値の目安(w/m²K)
構成 | 熱還流率(U値) |
---|---|
シングルガラス+アルミサッシ | 約6.0 |
Low-e ペアガラス+アルミサッシ | 約3.5 |
Low-e ペアガラス+アルミ樹脂複合サッシ | 約2.3〜2.7 |
Low-e ペアガラス+樹脂サッシ | 約1.5〜2.0 |
トリプルガラス+樹脂サッシ | 約0.98〜1.3 |
トリプルガラス+木製サッシ | 約0.8〜1.3 |
一般的に、関東以西の平野部で室内湿度を60%以下に保てる環境であれば、2.7以下のU値があれば結露リスクを抑えられるとされています。
そう考えると、最低でもLow-e ペアガラス+アルミ樹脂複合サッシが必要であり、可能であれば樹脂サッシ以上のグレードを選びたいところです。
■ メーカー別:Low-e ペアガラス 樹脂サッシ比較
YKK AP:APW330
- U値:1.48(樹脂スペーサー)、1.67(アルミスペーサー)
- 樹脂サッシの定番。性能・価格・施工性のバランスが良い
LIXIL:エルスターS
- U値:1.3
- 断熱性を重視しつつ、豊富なラインナップで選びやすい
エクセルシャノン:シャノンウインドシリーズ
- UFシリーズ:フレームに断熱材を充填、U値1.19(縦すべり出し窓)
- Ⅱsシリーズ:U値1.4〜1.5、樹脂スペーサー採用、バリエーション豊富
どのメーカーもガラスの空気層を16mmに設定しており、これは断熱性と結露防止の最適な厚みとされています。
■ トリプルガラス採用モデルの比較
近年、北海道や寒冷地以外でも採用が増えているのがトリプルガラスの樹脂サッシです。
メーカー | 製品名 | ガス種別 | U値 |
YKK AP | APW430 | アルゴン | 0.91 |
LIXIL | エルスターX | クリプトン / アルゴン | 0.79 / 0.91 |
エクセルシャノン | シャノンUH | クリプトン / アルゴン | 0.73 / 0.91 |
エクセルシャノン | トリプルⅡs | アルゴン:1.0〜1.3 / クリプトン:0.8 |
※引違窓タイプは構造的に気密性が取りにくく、U値が1.3程度まで上がるため、可能であれば縦すべり出し窓などの気密性の高いタイプを選択するのがおすすめです。
■ 「引違窓」からの脱却を考える
日本の住宅では長年「引違窓」が一般的でしたが、断熱・気密性能を考えると採用の優先順位を下げるべき時代になっています。
- すき間風が入りやすい
- ロック数が多くなり、使い勝手が落ちる
- 見た目は慣れていても、性能では他方式に劣る
代わりに「縦すべり出し窓」や「FIX窓」「外開き窓」などが、風通し・採光・断熱のバランスを取りやすくなっています。
■ 木製トリプルガラスはどうなのか?
ヨーロッパ製の木製サッシ(北欧系など)も人気ですが、以下の理由から一般住宅ではあまり採用されない傾向にあります:
- 輸入品が多く価格が高い
- メンテナンス(塗装・調整)に手間がかかる
- トラブル時の対応に不安が残る
2025年時点では、国内メーカーの樹脂サッシ製品が性能面でも非常に優れてきているため、住宅性能とコストのバランスを考えるなら国内製の樹脂サッシ+トリプルガラスが最有力候補です。
■ まとめ:断熱性能だけでなく「使い方」と「目的」で選ぼう
サッシ選びは「U値だけを見る」のではなく、
- どの地域に建てるか(湿度・気温)
- どんな使い方を想定するか(風通し・開け閉めの頻度)
- メンテナンス性・コスト・将来のリフォーム性 なども含めて検討することが重要です。
高性能=高価格になりがちですが、「過剰性能」で予算を圧迫するのではなく、自分の家にちょうどいい断熱と快適性を選ぶのが後悔のない選択につながります。
今後の新築・リフォームの検討に、この記事が参考になれば幸いです。