家の快適性を確保するためには、断熱性と同じくらい調湿性能が必要になってきます。
特に日本は夏期は高温多湿でカビ・ダニの発生しやすい環境であり、冬季は過乾燥でウイルスが活動しやすくなります。体感的にも高温で多湿はより暑く感じ、低温で乾燥はより寒く感じます。
同じ温度でも相対湿度が50%前後であれば、夏場のダニ・カビの抑制と体感的に28~29℃の室温でも涼しく感じられ、冬場のウイルス蔓延を防ぎ20℃前後で暖かく過ごせます。
現在の湿度対策
建築時に取り入れる決定的な湿度対策はほぼないに等しい状況です。
対処療法的に行っている方法で4点ほどあげてみます。
加湿器や除湿機を別途置く
局所的な対応になる。それぞれに電気代、メンテナンスの手間が必要
壁に珪藻土やエコカラッとのような吸放湿するタイルを貼る
予算と手間がかかる割には限定的な調湿性能
ダイキンのデシカ
理想的な調湿空間が出来るが、高額な機械とランニングコスト、メンテナンスが必要になる。機械が壊れれば入れ替える必要がある。
デマンド換気
アエレコ社の湿度に応じて換気口が開き空気の入れ替えをするシステムは低価格でメンテナンスがあまり必要なさそうですが、空気の流れを作るのが難しく、扱える業者が少ない。気象条件にも左右されるのかもしれません。
いずれもコスト対効果がアンバランスな状態でした。
新しい湿度調節方法
ゼオライトと床下換気
最近住宅の基礎がベタ基礎になりつつあり、ベタ基礎の床のコンクリートの蓄熱性を利用した、地熱利用も少しづつ普及し始めています。
それに伴い、床下に一旦空気を集めそこで湿度調整した空気を室内に入れる方策が考えられています。まだまだ少数派の施工方法ですが、今まで見てきた施工方法の中では理想的な工法に感じました。天然鉱物の為、メンテナンスは不要
ゼオライトとは
火山活動によって約700万年もの年月をかけて作られた多孔質の天然鉱物
ゼオライトの特性は
脱臭、水質浄化、吸放湿、土壌改良、吸水があげられます。
多孔質でアンモニアや窒素・リン・カリウムを吸着しやすくイオン交換作用で水の浄化にも役立ちます。
住宅では吸放湿性と脱臭性能が有効に作用します。
具体的な仕組みはこちら
百年の家プロジェクトという取組を行っている工務店です。
床下換気の仕組がないとあまり意味がありませんので、基礎は内断熱で換気口が無いように作り給気口から計画的に給気できるようにし、排気をダクトで集め熱回収して外に吐き出す仕組みです。
給気はダクトを利用せず壁の通気層を通っているような感じです。(ここはちょっと不明)
排気にファンを使っているので、第3種換気になります。
ダクトも排気にしか使っていないので、ダクトの汚れをあまり気にすることもありません。
メンテナンスとランニングを考えてもとても理想的な仕組みです。
必要なメンテナンスは給気のフィルターの交換や掃除(これはどの仕組みでも必要)ランニングは排気のモーターのみなので電気代はそれほどでもありません。壊れそうな箇所は排気のモーターと熱交換の部分がどうなっている野かなというところです。
この家は内貼り断熱で施工されている家です。
断熱材もコスパのいいグラスウールで基礎も内側に断熱しています。
基礎の外断熱はシロアリの進入経路になりやすいので、シロアリ対策としてもこの方がいいのかもしれません。
できれば基礎の外側は断熱塗料でも塗れば外気温での基礎の収縮が防げるのでコンクリートの長寿命化の対策にもなるのではないでしょうか。
なかなか理想的な調湿と換気の仕組でした。